寺子屋2020

8月10日(月)~13日(木)の4日間で、小学部で夏期特別寺子屋講習を実施しました。

普段は机の上で勉強していますが、今回は机といすを取っ払って、床に畳を敷いて、その上に座ってみんなで一緒に勉強しました。畳の青々しい香りの中で、江戸時代の日本の学びを、落ち着いた雰囲気で学んでいくことができました。

今回の寺子屋講習では、①四書五経を味わう ②和算を学ぶ ③日本文学作品を味わう ④百人一首を楽しむ という4本立てて実施しました。今回参加できなかった人たちのために、少し今回やった内容の一端をご紹介したいと思います。

 

①四書五経を味わう

…四書五経というのは、中国の代表的な9つの古典のことで、『大学』『論語』『中庸』『孟子』の4つと、『易経』『詩経』『書経』『礼記』『春秋』の5つを合わせた総称です。今回の授業では、これら9つの古典の名前を覚え、それぞれのおおまかな内容を説明いたしました。その中でも、特に今回の授業では『論語』に焦点をあてて、子どもたちがこれから立ち向かっていくであろう、人間関係における様々な問題をどのように解決していくのかというのを、『論語』の言葉をヒントに考えていきました。『論語』をはじめ、ほかの四書五経の古典も、人間が生きていくうえでの大切な心得をおしえてくれるものなので、ぜひみなさんも読んでみてください。授業の最後には、子どもたちが気に入った『論語』の言葉を、半紙に筆で書き写して、深くその言葉を味わいました。

②和算を学ぶ

…和算というのは、江戸時代ごろに発展した日本独自の算数のことです。和算の代表的なものに、つるかめ算・旅人算・盗人算などがありますが、今回の授業ではそれらのそれぞれの計算の方法を解説し、みんなに問題を解いてもらいました。それに加えて、和算を利用する場面が良く出てくる古典落語の演目も紹介し、その演目から私が和算の問題を出し、みんなに答えてもらうということもしました。和算にしても、落語にしても、日本の古くからの考え方を学ぶことができます。そして、それを知ることは「温故知新」という言葉があるように、みなさんが未来を切り開く力にもなっていくと思っています。ぜひ、「和算」にも、ご家庭でもたくさん触れてみてください。

 

 

③日本文学作品を味わう

…今回は、夏目漱石と太宰治という2人の文豪の作品を全6作品、みんなでぶっ通しで音読をしました。今回扱った作品は、夏目漱石から『坊ちゃん』『吾輩は猫である』『草枕』の3作品と、太宰治から『走れメロス』『人間失格』『斜陽』の3作品です。非常に難しい言葉がたくさんでてきて、音読に苦戦するところもありましたが、みんなで息を合わせて、きれいな合唱曲をつくるかのように、2時間の音読をやり通しました。こうした現代日本語の原点ともいえる言葉にたくさん触れることで、言葉の豊かさや感情の豊かさが身に付き、それが今まで見たこともない世界を描く、深く広い視点を獲得することにもつながります。ぜひ、様々な文豪と呼ばれる人たちの作品を大量に音読し、それらに書かれている言葉を自分の血肉にしていってほしいと思います。

 

 

④百人一首を楽しむ

…今回の授業では、まずは意味を考えずに、ひたすらに100個の歌を一気にみんなで音読しながら紹介していきました。その後に、百人一首とは何なのか、歌はどうやってつくるのかといった教養の基礎を学びました。その後に、100個の中から私が特に感情を激しく動かされた歌の内容をいくつかイラストと共に解説し、短い言葉で人に気持ちを伝える方法や風景や感情を表現する方法を、子どもたちに伝えました。そのうえで、子どもたちにも実際に歌を五・七・五でつくってもらい、最後に百人一首大会をみんなで楽しみました。子どもたちが作った歌は、拙いながらも、おもしろく心のこもった深い作品が多く、とても感銘を受けました。ぜひ、ご家庭でも百人一首の一つ一つの歌を味わいながら、実際に自分でもさまざまな感情をのせた歌をつくってみてください。

 

 

4日間の寺子屋講習は、「学校では学べないおもしろい学び」ということをテーマに実施していきました。子どもたちに少しでも、

過去のことを学ぶことは楽しいことだ!!

ということを感じてもらえたら、幸いです。

 

さて、夏休みも残すところあと1週間。今しか学べない・体験できないことを、たくさんやって、新学期を迎えてください。

 

 

リトルステップ 塾担当 渡部岳(わたなべ がく)

投稿者プロフィール

watanabe
watanabeリトルステップ塾講師
リトルステップで学習塾を担当している渡辺です。
高畑小学校→道塚小学校→六郷中学校→東京高等学校→明治大学政治経済学部。
大学では『都市政策』専門家の市川宏雄教授のもとでゼミ活動を行い、その中で大田区長に対して「大田区の外国人観光客向け観光プラン」の政策提言を行いました。また、文学部で教職員課程の教授でもある齋藤孝教授から2年間教育方法・授業論等を学び、その教えを基に現在教育活動を行っています。
2019年3月まで学校現場でクラス担任をやっていて、現在も非常勤講師として学校現場に携わっています。
学校と塾と家庭の連携を図り、子どもたちをより良い進路へと導いていけるように最善を尽くします。よろしくお願い致します。