啐啄同時

今回は、お母さん・お父さん・先生など教育をする人向けに書いていきたいと思います。

 

私が高校時代に、当時の担任の先生から教えてもらった言葉で最も印象に残っている言葉があります。

 

それが、「啐啄同時」という言葉です。

 

「啐啄同時」とは禅の言葉で、鶏の雛が卵からかえるタイミングを表している言葉です。

「啐」というのが、卵の殻の中から雛が殻をつついて音をたてること。

「啄」というのが、親鳥が外から殻をついばんで卵の殻を破ること。

 

すなわち、「啐啄同時」というのは、雛からの「啐」と親鳥からの「啄」が絶妙な同じタイミングで行われないと、雛が安全に産まれることができませんよ、という意味の言葉です。

 

これを教育に置き換えてみると、「啐」というのが子どもがいろいろなことを学びたいと思っている意欲、「啄」というのが親や先生が子どもにいろいろなことを教えようとすること、です。

これが同時に行われていないと、どんなに子どもが「学びたい」という意欲を持っていたとしても、どんなに親や先生がいろんなことを子どもに教えよう行動していても、子どもの成長にはつながりません。

 

子どもがまったく学ぶ意欲がないのに、大人が教えよう教えようとしていても一方通行で、むしろ子どもはより「大人はめんどくさい」と思って学びから逃げてしまうかもしれません。

逆に子どもが「もっと学びたい」と思っているのに、大人が子どもに無関心だと当然子どもの成長にはつながりません。

 

だから、「子どもが今まさに学びたい」と思っている状況をしっかりと感じ取り、大人がそれに見合う適切な教育を行っていくことが、最も効果的な子どもの学びにつながっていくのです。

 

もちろん、子どもがそうした学ぶ意欲を芽生えさせるために何かしらの働きかけを事前に大人がしておくことも重要です。

 

その上で子どもが本気で学びたいと思った時に、大人が瞬時に・当意即妙に子どもに知を与えられる準備をしておくことが、私たち教育者には求められるのです。

 

子どもをいつどんな時でも温かく見守る目や、いつどんなときでも子どもの求めに応じるための知を、私たち大人がしっかりと養っていくことが「啐啄同時」実現のために大切なことです。

 

 

リトルステップ 塾担当 渡部岳(わたなべがく

投稿者プロフィール

watanabe
watanabeリトルステップ塾講師
リトルステップで学習塾を担当している渡辺です。
高畑小学校→道塚小学校→六郷中学校→東京高等学校→明治大学政治経済学部。
大学では『都市政策』専門家の市川宏雄教授のもとでゼミ活動を行い、その中で大田区長に対して「大田区の外国人観光客向け観光プラン」の政策提言を行いました。また、文学部で教職員課程の教授でもある齋藤孝教授から2年間教育方法・授業論等を学び、その教えを基に現在教育活動を行っています。
2019年3月まで学校現場でクラス担任をやっていて、現在も非常勤講師として学校現場に携わっています。
学校と塾と家庭の連携を図り、子どもたちをより良い進路へと導いていけるように最善を尽くします。よろしくお願い致します。