「忘れる」ことは良いこと??

 『思考の整理学』(ちくま文庫/外山滋比古 著)

「頭を良く働かせるには”忘れる”ことがきわめて大切である」

 学校の中間テストや期末テストでは、その日までにどれだけの知識を覚えることができたのかが試されます。だから、その日までに一生懸命勉強して、たくさん頭に詰め込んで、多くの知識を覚えることができた人は、良い点数を取ることができます。すなわち、学校のテストにおいては「頭を良く働かせるには”覚えている”ことがきわめて大切である」ということになるでしょう。

 しかし、大人になればなるほど、私たちにはその知識を応用させて新しいものを生み出す力が求められてきます。ただ知識を覚えているだけの頭でっかちの人は社会の中でそれほど重要ではなくなってくるのです。

 では、新しい価値を生み出すクリエイティブな人間になるにはどうしたらよいのでしょうか??

その答えこそが、「忘れる」ことです。

外山さんは著書『思考の整理学』の中で次のように言っています。

『人間の頭を倉庫として見れば、危険視される忘却だが、工場として能率よくしようと思えば、どんどん忘れてやらなくてはいけない』

人間の頭の中を、ただ知識を詰め込むだけの倉庫ではなく、常に何か新しいものを生み出す工場としてとらえ、その工場を能率よく動かしていくためには覚えた知識を「忘れ」て「整理」することが大切です。
もちろん、知識をたくさん詰め込み覚えることも大切ですよ。そもそもそうした知識がなければ「捨てる」ことも「忘れる」ことも「整理」することもできないですからね。

ただ、その知識をいかに「忘れ」て「整理」するかは、社会を生きるうえでもっと大切なことなのです。

『思考の整理学』は東大生・京大生に最も読まれた文庫本としても有名です。
これからの人生をよりよく生きていくことを望むすべての人に読んでほしい一冊です。

リトルステップ 塾担当 渡部岳(わたなべがく)

投稿者プロフィール

watanabe
watanabeリトルステップ塾講師
リトルステップで学習塾を担当している渡辺です。
高畑小学校→道塚小学校→六郷中学校→東京高等学校→明治大学政治経済学部。
大学では『都市政策』専門家の市川宏雄教授のもとでゼミ活動を行い、その中で大田区長に対して「大田区の外国人観光客向け観光プラン」の政策提言を行いました。また、文学部で教職員課程の教授でもある齋藤孝教授から2年間教育方法・授業論等を学び、その教えを基に現在教育活動を行っています。
2019年3月まで学校現場でクラス担任をやっていて、現在も非常勤講師として学校現場に携わっています。
学校と塾と家庭の連携を図り、子どもたちをより良い進路へと導いていけるように最善を尽くします。よろしくお願い致します。