今月9日に、新しい1万円札の肖像画が「渋沢栄一」になるという発表が政府からありました。渋沢栄一は、明治時代初期に活躍した人物で、「近代日本経済の父」ともいわれ生涯に渡って約470社もの会社設立に成功した人物です。今の日本経済の原点は「渋沢栄一」にあるといっても過言ではないと思っています。
今回はそんな渋沢栄一が書いた『論語と算盤』(ちくま新書、守屋淳=訳)の本を紹介します。
「論語」とは道徳のことで、かつて中国の春秋戦国時代に活躍した孔子やその弟子たちの言葉をまとたものです。
この「論語」が長い間ずっと多くの人に読まれ続け、それが日本の道徳の根幹をなすほどの影響を与えました。
「算盤」とはお金儲けのことです。
すなわち、「道徳」と「お金を儲けること」は一致するというのが渋沢の主張です。
「道徳」というのは相手の利益を考えた行動、「お金を儲ける」というのは自分の利益を考えた行動で、一見すると「論語」と「算盤」は相反する考え方のように感じます。
でも、たとえば自分の利益ばかり考えて「自分さえお金をかせげればいい」と思って行動していると、周りから反感を買って逆に不利益を被る結果に終わることになります。
反対に、みんながみんな「道徳」のことばかりを考えて、周りに気を使って自分の利益を一切考えなかったら、今度はまったく競争心が生まれずに社会はどんどん弱くなって成長が生まれなくなります。
だから、渋沢は「論語」と「算盤」のバランスが重要で、両方が大切であると述べているのです。
「『モノの豊かさを実現したい』という欲望を、まず人は心に抱き続ける一方で、その欲望を実践に移していくために道理を持って欲しいということなのだ。その道理とは、社会の基本的な道徳をバランスよく推し進めていくことに外ならない。」
渋沢栄一が新しい1万円札に選ばれたのは、きっと渋沢の考え方や生き方が、現代の日本人やこれからの日本社会の成長のために必要とされているからなのではないかなと思っています。今回のことをきっかけとして多くの人に渋沢栄一のことを知ってほしいと思っています。
「論語と算盤」はこれからの日本社会を築いていくすべての人に読んでほしい1冊です。
リトルステップ小学部担当 渡部岳
投稿者プロフィール
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リトルステップで学習塾を担当している渡辺です。
高畑小学校→道塚小学校→六郷中学校→東京高等学校→明治大学政治経済学部。
大学では『都市政策』専門家の市川宏雄教授のもとでゼミ活動を行い、その中で大田区長に対して「大田区の外国人観光客向け観光プラン」の政策提言を行いました。また、文学部で教職員課程の教授でもある齋藤孝教授から2年間教育方法・授業論等を学び、その教えを基に現在教育活動を行っています。
2019年3月まで学校現場でクラス担任をやっていて、現在も非常勤講師として学校現場に携わっています。
学校と塾と家庭の連携を図り、子どもたちをより良い進路へと導いていけるように最善を尽くします。よろしくお願い致します。
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